打倒MBOか。ノーレイティングの陰と陽

最近、フォーチュン500に載っている会社の大半が、ノーレイティングへの移行を検討しているとの記事を見た。

ノーレイティングとは、これまでの、相対評価、期末評価中心の評価制度から、 絶対評価、高頻度評価へ切り替える評価制度のことである。

厳密に言うともっと明確なものがあるのだが、大枠としては上記のようなイメージです。

上記と重複するが、ノーレイティングの特徴は以下の事項に収斂される。

 

相対評価から、絶対評価

→かつてのGEに代表されるように、全社の人材の能力やエンゲージメントを相対評価し、 その評価に基づいて給与を分配する考え方から、個人の成長目標に対する達成度合いに応じて評価することへの 舵きり

・全社的な給与原資から、事業部単位の給与原資へ

→上述の相対評価に基づく全社的な給与原資配分から、事業部のトップに配分権を付与し、 マネージャーから上がってきた絶対評価に応じて、事業部原資から給与を配分する

・期末評価から、メッシュを細かくした評価へ

→クオーターや期の最後にマネージャーとメンバーで評価をすり合わせあげていくやり方から、 ウィークリーやマンスリー単位の面談のログや実績を積み上げて評価するやり方への舵きり

 

企業によって、上記の要件を全て揃える形で切り替える会社から、一部を取り入れて従来のやり方と ハイブリットで取り入れる企業まで、幅広いレパートリーが広がっている。

あくまで私見だが、ノーレイティングへ移行することのメリットとしては、 他者比較ではなく、自身のコミットした成長目標に対する到達度が評価なので、エンゲージメントを維持しやすいことや 期末に帳尻合わせして評価するのではなく、高頻度で評価を積み重ねることで、評価の材料になる行動ログや パフォーマンスログが積み重なり、よくある評価エラーの回避につながる、 等があると考えている。

 

一方で、ノーレイティングを機能させるには、メンバーとマネージャー双方が信頼関係を構築し対話できる為の、 マネージャーの対話スタンスやコーチング力が必要であるし、高頻度の評価のログを取れるような システムの整備が必要であり、一朝一夕な移行は実現がしづらいのではないかと考えている。

いずれにせよ、うまくワークすれば大きなインパクトがある取り組みだと思うので、 今後の動向に期待したい。