副業のリスクコントロールについて

最近、副業を許可する企業に関するニュースが増えています。

IT系のベンチャー企業を中心に、大手企業ではロート製薬などが、副業を許可したことで 話題になっておりましたし、ある程度運用にも乗っている印象です。

ただし、そういった先進事例に続く、大手企業の導入や、制度浸透には至っていない印象でして、 今回は、それがなぜなのかという個人的な考察と、それらを踏まえてどういったやり方で導入するのが 良いのか、少し考えてみたいと思います。

 

まず、副業推進がスピーディーに浸透していない理由について、以下の理由があると考えています。

 

A、労働法に関連するリスク。

例えば、平日に副業をした場合、副業時間分は企業の残業時間として計算されるのかどうかや、 副業の為に移動している最中に事故にあった場合、企業に対して労災責任が生じないか等のリスク。

B、次に、本業への悪影響のリスク。

副業にリソースを多重に割くことによって、健康を害してしまうことや、 本業の生産性が低下する等。

C、後は、副業のメリットが意図した通りに生じないリスク。

社員のリテンションを想定して設計したつもりが、 かえって副業に熱が入り離職に繋がる等。

 

企業の事業特性や組織状況によって、上記のリスクのうち、どれが重点懸念事項なのかはまちまちだと 思いますが、上記のようなリスクによって、火種は生じながらも、経営に対して合意を取ることができないことが 多いのではないでしょうか。

個人的には、上記のリスクを完全に払拭するタイミングはなかなか来ず、どこか意思決定を ジャンプする必要があるのではないかと思っていますが、とはいえ、一定のリスクヘッジをした上で導入する方法も あるのではないかと感じているので、一つのアプローチを考えてみたいです。

まず、リスクAに関しては、本業の労働日と、副業の実践日を分離させることを必須とし、 本業と副業の時間が連続しないように設計すること。

また、リスクBに関しては、入社3年目以上の社員に限る等、セルフマネジメントがある程度できるセグメントに 絞ることや、副業の内容を申告制にし、上長承認と人事承認を経た上で開始することで、副業の 稼働負荷を見立てられるようにしておくこと。

最後に、リスクCに関しては、個人的にはこのリスクは 甘受した方が良いのではないかと考えています。 副業許可も採用パワーの1つになってきている状況では、同業他社に副業許可している会社があれば そっちに移るという判断をする方は今後増えてくると思いますし、むしろ副業を許可することで、 ジョブや組織に対するエンゲージメントを本当に高められる関わりや環境設計ができているのか、 検証することもできると思います。

 

このような形で、各論はいろいろあれば、総論としては積極推進していくと良いのではと思いますし、 IT 系以外の会社でも、導入して運用に乗る企業事例が出てくることを楽しみにしております。